○島尻消防組合警防規程
平成30年11月30日
訓令第11号
目次
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 消防部隊の編成(第6条)
第3章 特定隊の編成等(第7条・第8条)
第4章 隊長等の編成(第9条)
第5章 警防調査及び計画(第10条―第14条)
第6章 出動計画(第15条―第18条)
第7章 警防対策(第19条―第23条)
第8章 警防調査及び警防視察(第24条―第26条)
第9章 訓練(第27条―第30条)
第10章 警防行動(第31条―第42条)
第11章 消防特別警戒(第43条・第44条)
第12章 報告及び通報(第45条―第49条)
第13章 補則(第50条)
第1章 総則
(目的)
第1条 この規程は、消防組織法(昭和22年法律第226号。以下「組織法」という。)及び消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)に基づき火災、救助、その他の災害(以下「火災等」という。)の警戒並びに被害を軽減するため、島尻消防本部の機能を十分に発揮する必要な事項を定めることを目的とする。
(用語の定義)
第2条 この規程の用語の定義は、次の各号による。
(1) 火災 人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするのをいう。
(2) 救助 火災及び風水害等の災害並びに交通、機械等の事故により生命、身体に作用している緊迫した危険な状態から、自力により脱出又は避難することのできない救助を要する者を安全な場所に救出し、又は危険から開放することをいう。
(3) その他の災害 火災、救助事象以外で放置すれば火災又は人命危険の発生が予想されるため、危険を排除するための作業を必要とする事象をいう。
(4) 消防活動火災等の警戒及び被害の軽減、並びに人命救助のために行う消防機関の行動をいう。
(5) 延焼阻止 消防部隊の消火活動により火勢拡大の危険が無くなった状態をいう。
(6) 鎮圧 有炎現象が終息した状態をいう。
(7) 鎮火 指揮隊長が消防隊による消火活動の必要が無くなったと認めた状態をいう。
(8) 大規模災害 航空機の墜落、危険物等の火災等で、通常出動では対応できない災害事象をいう。
(9) 大規模救助 救助又はその他の災害で概ね10人以上の要救助者が発生し、若しくは発生が予想される場合で、複数の救助隊等及び救急隊が対処する災害事象をいう。
(10) 各級指揮者 大隊長、中隊長、小隊長、救助隊長、救急隊長及び代理者をいう。
(警防責務)
第3条 消防長は、島尻消防本部管下の消防事情の実態を把握し、これに対応する警防態勢の確立を図るとともに、部下を指揮監督し、警防業務の万全を期するものとする。
2 消防署長(以下「署長」という。)は、警備各課長以下を指揮監督し、警防態勢を確立するとともに、管轄区域内の警防業務の万全を期するものとする。
3 各級指揮者は、平素から担当する任務に応じて警防事象の把握、消防活動に関する知識、技能の向上、体力の錬成に努めるとともに、隊員を教育訓練するものとする。
4 隊員は、平素から担当する任務に応じて地理、水利、建物等(以下「地水利等」という。)の状況に精通するとともに警防活動に関する知識、技能の向上、体力の錬成に努めるものとする。
(安全管理の責務)
第4条 消防長及び署長は、災害現場における安全管理及び訓練の特性に応じた安全管理体制を確立するために訓練施設、資機材の整備を行い安全に関する教育を実施し安全確保に努めるものとする。
2 各級指揮者は、平素から隊員に対し資機材、装備の管理、適正な運用についての教育をするとともに、災害現場及び訓練にあたっては活動環境、資機材の活用、隊員の行動の状況を的確に把握し、危険が予測されたときは必要な措置を講ずるなど安全確保に努めるものとする。
3 隊員は、安全確保の基本が自己にあることを認識し、体力、気力、技術の錬成に努め、いかなる事象に直面しても適切に対応できる臨機の判断力、行動力を養うとともに、消防活動時は隊員相互が安全に配慮し合い危険防止に努めるものとする。
(安全責任者の指定等)
第5条 消防長又は署長は、訓練時の安全を図るため安全主任者を別に定める規程に基づき指定するとともに、訓練の規模、内容に応じて安全員を配置するものとする。
2 安全主任者は、各級指揮者と連携を密にし、訓練内容、訓練施設及び資機材の点検並びに訓練における安全確認、危険要因の排除等実務的な助言、指導を積極的に行うものとする。
3 安全員は、安全主任者及び指導者の統括のもとに訓練における安全監視、危険要因の排除等安全確保に努めるものとする。
4 安全管理体制等の基準は、別に定める。
第2章 消防部隊の編成
(部隊編成)
第6条 平常時及び非常時における消防力の効果的運用を図るため、それぞれの組織下における部隊の編成を実施計画の19「島尻消防部隊編成基準」のとおりとする。
2 消防部隊の編成は、第1小隊、第2小隊とし、第3小隊は消防団とする。
3 小隊に分隊を配置する。
第3章 特定隊の編成等
(特定隊の指定)
第7条 署長は、車両装備、積載資機材等の効果的な運用を図るため連携隊、空気ボンベ補給隊等特定の任務を付与した分隊を指定することができる。
2 署長は、火災等の発生時に要救助者の発生が予想される区域を救助指定区域として指定し、当該区域は防ぎょ活動、救助活動が並行して行われるよう部隊を指定しておくものとする。
(指揮隊の編成)
第8条 島尻消防本部の指揮隊は、警防班及び各級指揮者で編成する。
2 指揮隊の編成は、災害時又は消防対策本部設置時に編成する。
3 指揮隊設置は、大規模災害、大規模救助又は延焼拡大した大規模火災等における指揮命令系統の統一を図るため消防長又は署長が発令する。
第4章 隊長等の編成
(隊長等)
第9条 中隊に中隊長を置く。中隊長は署長又は警備課長とする。
2 小隊長は、分隊長及び機関員を編成し命ずる。
3 救助隊長、救助員及び水難救助隊長、水難救助隊員並びに救急隊長、救急隊員を命ずるときは、消防学校教育訓練の基準に定める所定の課程あるいは研修を修了した者のうちから命ずるものとする。ただし、各課程の修了者がいないときは適格者の中から命ずるものとする。
第5章 警防調査及び計画
(本部警防計画)
第10条 消防長は、警防力の運用、消防部隊の活動等、消防活動上必要な事項について計画を作成するものとする。
(署警防調査)
第11条 署長は、災害が発生した場合に消防活動が困難と認められる防火対象物及び地理、水利の状況について把握するため、警防調査を実施するものとする。
(1) 地理水利調査
(2) 中高層建物調査
(3) その他調査
3 署長等は、警防調査の結果、警防活動に支障があると認める事項については、速やかに必要な措置を講ずるものとする。
(署警防計画)
第12条 署長は、管轄区域内の消防活動を効率的に実施するため、事前に警防計画を策定するものとする。
(1) 特殊用途建築物警防計画
(2) 放射性物質及び毒、劇物等保有施設警防計画
(3) 大規模救急救助警防計画
(4) 地震、風水害時等警防計画
(5) その他警防活動上必要と認める警防計画
2 署長は、消防活動上必要があると認める防火対象物、又は施設等について各級指揮者及び隊員に火災警防計画を作成させるものとする。
(消防資料の整備)
第13条 職員は、関係法令に基づく許可、確認、届出等の事務処理に関しては、消防活動上必要な資料の入手及び整備に努めるとともに、関係部署等が密接な連携をとり関連する事項を検討して警防業務の万全を図るものとする。
(計画等の周知)
第14条 消防長及び署長は、前条の警防資料及び警防計画に関する図書を整備し、その内容を所属職員に周知させておくものとする。
第6章 出動計画
(事前計画による出動)
第15条 火災のために消防部隊の出動は、次の各号に掲げる要素による該当区域の平均燃焼力を推定しこれを鎮圧するために必要な消防力を予測した火災警防計画に基づく事前計画(以下「事前計画」という。)による出動計画とする。
(1) 建物構成状況
(2) 火災通報状況
(3) 消防隊の集結状況
(4) 消防水利の分布状況
(5) 気象状況
2 署長は、必要防火対象物等について、個々の事前計画を定めておくものとする。
(特命出動)
第16条 特命出動は、事前計画に定める特定隊の出動をいう。また、当務の長は当務日ごとに事前計画に定める特定隊を編成する。
2 前項に定めるもののほか、署長が部隊を指定して編成する特定の任務を付与した部隊の出動も含むものとする。
(消防相互応援協定等による出動)
第17条 組織法第29条に基づく沖縄県消防相互応援協定及び沖縄自動車道における消防相互応援協定並びに米軍及び自衛隊の航空機事故連絡協議緊急措置要領(以下「応援協定等」という。)による出動は、応援協定等に基づく事前計画による。
(1) 普通応援は、応援協定等に基づく事前計画による。
(2) 特別応援は、特命出動による。
(非常配備)
第18条 消防長は、消防部隊の出動により消防力が半減し管内の消防力を補充する必要があると認めるときは、事前計画又は招集計画により非常配備を行うものとする。
第7章 警防対策
(警防業務の効率的執行)
第19条 警防業務は、火災の多発する時期及びその他の時期に区分し、管内事情に応じて効率的に執行するものとする。
2 消防長及び署長は、火災の多発する時期においては隊員の確保等、警防力の充実に配慮しなければならない。
(火災警報等の発令及び措置)
第20条 消防長及び署長は、法第22条第3項に基づく火災警報の発令された場合は、次の各号について必要な措置を講ずるものとする。
(1) 関係機関へ対する協力要請
(2) 消防装備、車両積載資機材の増強
(3) 広報及び警戒
(4) その他必要事項
(異常気象時の措置)
第21条 消防長は、強風、暴風雨、乾燥等(気象業務法に基づく注意報以上が発令された場合)又は渇水等で、消防活動上支障があると認めた場合は、必要に応じて非常配備等の措置を講ずるものとする。
(対策の策定)
第22条 消防長は、消防部隊の集結状況等警防上の特殊性を把握し、必要に応じて警防対策を講じるとともに、特異な消防対象物に対する活動資料を整備しておくものとする。
(消防活動上障害のある行為等の届出の処理)
第23条 署長は、島尻消防火災予防条例(昭和51年条例第13号。以下「火災予防条例」という。)第45条に規定する消防活動上障害のある行為等の届出があった場合、届出内容の審査を行うとともに必要に応じて現地調査を行い、その旨を当該届出書に記載し処理するものとする。
2 署長は、前項の火災予防条例第45条の火災とまぎらわしい煙を発生するおそれのある事象の届出があったときは、現地調査等必要事項を関係職員へ指示するものとする。
3 署長は、消防車両の通行障害、ホース延長障害等、消防活動上支障があるときは、障害の排除、改善及び現場における連携体制について関係機関と協議しておくものとする。
第8章 警防調査及び警防視察
(警防調査)
第24条 署長は、所属職員の任務に応じて「地水利等」の状況を調査させるものとする。
(調査の種別)
第25条 警防調査は、次の各号による。
(1) 小隊調査
各小隊ごとに管轄内又は必要に応じて管轄区域外の地水利等の状況調査について実施するもの
(2) 特命調査
新任配置者又は署長が特に指定した者が地水利等の状況について実施するもの
(警防視察)
第26条 署長は、管内又は必要に応じて管轄外の中高層建築物、大規模危険物施設等で火災が発生した場合に特に消防活動上困難が予想され、消防隊が施設等について精通しておくことが必要な消防対象物、又は消防活動上の参考となる消防対象物について視察を実施させるものとする。
第9章 訓練
(指針)
第27条 消防長は、訓練を効果的に推進するため、その指針を示すものとする。
(計画)
第28条 各級指揮者は、前条の指針に基づき管轄内の特性を考慮し、訓練の重点を定め、年間計画を定めるものとする。
(訓練の実施)
第29条 署長は、所属職員として消防活動に必要な動作、操作及び部隊活動について習熟させるため、計画的に訓練を実施するものとする。
(訓練の種別)
第30条 訓練の種別は、次のとおりとする。
(1) 個別訓練
各級指揮者及び隊員として消防活動上必要な安全、確実、迅速な基礎・応用技術等を演練し、体得するために行うもの
(2) 合同訓練
個別訓練で体得した技術を応用して、災害現場に対応できる中隊及び小隊連携活動を演練し、組織的な消防活動の向上を図るために行うもの
第10章 警防行動
第1節 出動
(消防長)
第31条 消防長は、火災等で必要と認めるときは出動するものとする。
(本部職員)
第32条 本部職員は、火災等で必要と認めるときは出動するものとする。
2 本部職員は、救急出動で第2出動が発令され、消防署員がその他の出動等で不在のとき出動する。
(管外出動)
第33条 消防長は、業務執行上必要と認めるときは本部職員及び消防署員を管外の火災等へ出動させることができる。
第2節 任務
(指揮隊長)
第34条 火災等の災害現場へ出動した当務の長は、指揮宣言を行い指揮隊長となり出動各隊を統括指揮し、消防活動方針を決定し情勢に適応する部隊配備を定め、必要と認めるときは消防部隊資機材の応援要請並びに効果的な現場広報を行い、現場における消防部隊中枢として最大の消防活動効果を挙げるように努めるものとする。
2 指揮隊長は、上位の指揮者が現場に到着したとき、火災等の状況及びその消防活動概要を速やかに報告するものとする。
3 上位の指揮者は、報告内容等から判断して自ら指揮を宣言する必要があると認める場合は、指揮宣言をして指揮権を引継ぎ災害現場最高責任者の任に着くものとする。
(署長)
第35条 署長は、消防長の命を受け小隊長以下を統括指揮し、任務を認識させ消防業務を遂行させるものとする。
(小隊長)
第36条 小隊長は、分隊長以下を指揮統括し、火災等に際しては速やかに自己担当面の活動方針を決定し、消防活動にあたるものとする。ただし、命令を受けるいとまがないときは、自己の判断によるものとする。
2 小隊長は、火災等の状況、自己隊の活動概要、処置等について速やかに署長に報告しなければならない。
(分隊長)
第37条 分隊長は、小隊長の命を受け隊員を指揮監督し火災等に際しては速やかに自己隊の任務を決定し、消防活動にあたるものとする。ただし、命令を受けるいとまのないときは自己の判断によるものとする。
(隊員)
第38条 隊員は、災害等に際しては自己隊の任務を的確に把握して習得した技能を最高度に発揮するとともに、資機材等を十分に活用して消防活動にあたるものとする。
第3節 消防活動
(火災等の現場活動の原則)
第39条 火災等の現場活動は、人命救助を第一とする。
2 消火の活動は、延焼阻止を基本とする。
(火災警戒区域等の設定)
第40条 各級指揮者は、火災等の現場で法第23条の2(火災警戒区域の設定)法第29条第2項(消防長の緊急措置等)第3項(法第36条に基づく準用を含む。)及び法第30条第1項(給水維持のための緊急水利)の規程を運用する必要があると認められた場合は災害状況等を適切に判断措置し、その状況を速やかに指揮隊長に報告するものとする。
(不測事態に対する応急措置)
第41条 各級指揮者及び隊員は、消防活動にあたり不測の事態が発生し、緊急に措置を必要とする場合は、自己判断により所要の応急措置をとり、事後速やかに指揮隊長に報告するものとする。
(再出火の防止)
第42条 指揮隊長は、別に定める基準に基づき残火処理等を適切に行うとともに、法第23条に定める消防警戒区域を解除するときは、当該対象物の関係者に対し監視、警戒等の協力を求め、説示して再出火の防止に努めるものとする。
第11章 消防特別警戒
(警戒の実施)
第43条 署長は、火災等の発生のおそれのある事象及び集団救急事故等に対処するため、特に必要があると認める場合は、消防特別警戒を実施するものとする。
(広範囲の警戒等の実施)
第44条 署長は、特別消防警戒が広範囲にわたる場合は、又は警戒事象の規模その他により特に必要があると認める場合は、各級指揮者を指定して実施させるものとする。
2 消防長は、消防特別警戒が管轄外にわたる場合は、当該消防本部の消防長と協議するものとする。
第12章 報告及び通報
(警防計画の報告及び通報)
第45条 消防長は、第10条に規定する警防計画を作成したときは、管下職員に周知させるとともに、関係者に報告及び通報するものとする。
2 署長は、第12条に規定する警防計画を作成したときは、消防長に報告するものとする。
(訓練等計画の報告)
第46条 各級指揮者は、第27条に規程する年間計画を作成したときは、消防長に報告するものとする。
(消防活動報告等)
第47条 各級指揮者は、火災等へ出動した場合は、自己小隊あるいは分隊の活動について火災活動報告書を作成し速やかに消防長へ報告するものとし、救急業務については、島尻消防本部救急規程の様式、救助業務に関しては救助出動報告書の様式による。
3 各級指揮者は、訓練及び火災等の現場において公務災害の事故が発生したときは、事故概要を消防長に速報するものとする。
4 消防長は前項の速報を受けた場合、事故の内容から必要と認めるときは、報告を求めることができる。
5 各級指揮者は、訓練及び火災等の現場、又はその他の場合において使用資機材等の損傷事故が発生したときは、速やかに署長に報告するものとする。
(管轄外活動の通報)
第48条 署長は、火災等で出動報告書が報告され当該火災等が管轄外の場合は、当該火災等の発生地管轄の署長へ出動報告をするものとする。
2 署長は、火災等で被害が発生し関係部署へ通報の必要が認められる場合は、自ら通報し、又は署員をもって通報させるものとする。
(事務引継ぎ等)
第49条 小隊長又は代理者は毎日、勤務の交代後、速やかに警備態勢及び事務の引継ぎをしなければならない。
2 前項の様式は、別に定める。
第13章 補則
(補則)
第50条 この訓令に定めるもののほか、必要な事項は消防長が別に定める。
附則
この訓令は、公布の日から施行し、平成30年4月1日から適用する。